ジェットガール

ときどき書きます

イクラ

「ほら、力んじゃダメだよ、さやか」
 恭介に優しく声をかけられて、さやかは言われる通りに身体の力を抜こうとする。けれど、恥ずかしくて、おかしくて、どうしても力が入ってしまう。
(ごめんね、次はもうちょっと上手くやるから)

 恭介の部屋。さやかはここで四つんばいになって、裸の下半身を彼に向けていた。ずっとこの格好を続けさせられ、さやかの息は鼓動に合わせてはあはあと、幸福に熱をもっている。こうしていると顔は見えないけれど、恭介の声も嬉しそうだとさやかは思う。
 上半身を床に落として、お尻をもう少し持ち上げてみる。力を抜いて、恭介がこれの続きをしやすいように。恭介がこれをしたいと言ったのだ。さやかの肛門にイクラを詰めたい、と。
(最初は面喰らったけど、恭介がそうしたいって言うんなら別にあたしは何だって構わなかった。あたしはもう恭介に身も心も捧げているんだから)
 肛門の周りに違和感があって、イクラのひと粒がまた入れられようとしているのだと気づく。さやかは尻たぶに両手をあてがって、弛緩しきった肛門をさらに開いてあげる。く、と恭介の指が入った感触がして、新たな宝石がさやかの直腸に蓄えられる。
「いい子だね。そのまま、潰しちゃだめだよ」
 恭介の声がさやかの身体を撫でる。続けてもうひと粒、もうひと粒と恭介の手がイクラをさやかに埋め込んでいく。右手を私の腰にあてがっているから、それをするのは彼の左手だ。
(あたしの願いが癒した手で彼は)

 ……もう二十粒くらいは入ったんじゃないかなあ、とさやかは思う。ずうっと力を抜いていて、それでお尻の中にイクラが詰まっているので、変な感じだ。さやかは恭介に聞いてみる、何でこんなことしたかったのって。もちろん嫌じゃないよ、あんたの望むことなら、ってニュアンスを付け加えるのを忘れずに。そしたら恭介はこう言った。
「さやか、僕はねえ、ずっと、好きな女の子のアヌスにこの手でイクラを入れてあげるのが夢だったんだ」
 答えになってるの、それ? と笑いながら、さやかは、こんなどうしようもない、実も蓋もない告白に感極まって、不意に下半身に力を入れてしまう。直腸でイクラが何粒か、確かな感触を伴って潰れ、思わずああ、と声を漏らす。
「悪い子だね、さやかは。こんなに潰してしまって……」
 そう言うと恭介はさやかの肛門に口づけした。さやかは驚いてさらに肛門を閉じ、何粒かが外にこぼれる。恭介はそれを舌で受けとめ、さやかの細い隙間から、潰れたイクラたちを吸い始める。
(ああ、あたしのお尻から、お汁、恭介が飲んでる……)
 そう思いながらさやかは、少しずつ直腸の中身が外に、恭介の口内に導かれていく、その快感だけを感じていた。
(魔法少女、最っ高……)


 魔女は幸せな夢に微睡んでいた。オクタヴィアは人魚の魔女。その下半身は、鮭であったという。